入れ歯が外れるのはなぜ?原因と対処法・根本的な解決策を解説【歯科医監修】
食事の途中で入れ歯がパカパカと浮いてしまう、会話をしていると外れそうで人前で口を開けにくい、朝は問題ないのに昼を過ぎると緩んでくる——入れ歯が外れることで、こうしたお悩みを抱えていませんか。
入れ歯が外れる・落ちるという問題は、多くの方が経験される日常的な困りごとです。
ご本人だけでなく「親の入れ歯が合っていないようだ」とご家族が心配されているケースも少なくありません。
「もう歳だから仕方ない」と我慢して使い続ける方もいらっしゃいますが、外れる背景には原因があり、多くは適切な対処で改善が期待できます。
本記事では、入れ歯が外れる原因を部分入れ歯・総入れ歯・下の入れ歯のタイプ別に整理し、自宅でできる対処法から、歯科で受けられる根本的な解決策までをわかりやすく解説します。

インプラント治療担当医
- 2025年度年間症例数 3,077本
- 日本口腔インプラント学会 会員
- ダイヤモンド・プラチナメンバー W受賞
入れ歯が外れるのは「年齢のせい」だけではありません

よくある誤解として「入れ歯が外れるのは年をとったせいだから、どうしようもない」と諦めてしまう方がいらっしゃいます。
しかし、入れ歯が外れやすくなる背景には、お口の状態の変化や入れ歯そのものの問題など、特定できる原因が隠れていることがほとんどです。
原因を正しく把握できれば、多くのケースで状態の改善が期待できます。
放置すると、しっかり噛めないことから食事の内容が偏って栄養バランスを崩したり、顎の骨の変化(吸収)が進んだりすることもあります。
まずは、なぜ外れてしまうのか原因を知ることから始めましょう。
外れやすいからといって、自己判断で入れ歯を削ったり、金具を曲げたりするのは避けてください。
かえって入れ歯が合わなくなったり、粘膜を傷つけたりするリスクがあります。
【3つの視点で整理】入れ歯が外れる主な原因

入れ歯が外れる原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こることが少なくありません。
ここでは「お口側の変化」「入れ歯側の問題」「噛み合わせ・筋力」の3つの視点に分けて解説します。
お口側の変化(顎の骨・歯ぐき・唾液)
歯を失うと、それまで歯を支えていた顎の骨(顎堤/がくてい)は、噛む刺激が減ることで少しずつ吸収され、痩せていく傾向があり「骨吸収」と呼びます。
入れ歯を作った当初は歯ぐきの形にぴったり合っていても、骨や歯ぐきが痩せると入れ歯との間にすき間が生じ、外れやすくなります。
特に抜歯した直後は骨の変化が大きいため、定期的な確認と調整が重要です。
また、加齢や服用しているお薬の影響などで唾液の分泌量が減ると(ドライマウス)、入れ歯と歯ぐきの間の吸着力が低下し、外れやすくなることがあります。
入れ歯側の問題(劣化・変形・金具)
入れ歯は毎日使う装置ですから、素材のレジン(プラスチック)が少しずつ吸水・変形したり、噛む面がすり減ったりして、時間の経過とともにフィット感が低下していきます。
総入れ歯では歯ぐきを覆う面積が大きすぎても小さすぎても吸着が得られにくく、部分入れ歯では残っている歯に引っかける金具(クラスプ)が緩んだり変形したりすることが、外れる原因になります。
噛み合わせ・筋力の問題
上下の噛み合わせ(咬合)に左右差があったり、噛み合う高さがずれていたりすると、噛むたびに入れ歯が不安定に動き、外れやすくなります。
また、加齢とともに口の周りの筋力が低下すると、入れ歯を口の中で保持する力が弱まることも一因です。
噛み合わせの乱れは顎関節への負担にもつながるため、早めの確認が望まれます。
【タイプ別】入れ歯が外れる原因と対処の方向

入れ歯が外れる原因には共通する部分もありますが「部分入れ歯」「総入れ歯」、そして「下の入れ歯」では、注意すべきポイントや対処の方向性が異なります。
ご自身が使っている入れ歯のタイプに当てはめて読み進めてみてください。
部分入れ歯が外れる場合
部分入れ歯は、残っている歯にクラスプという金具を引っかけて安定させる構造です。
そのため、着脱を繰り返すうちにクラスプが緩んだり、変形したりすると、入れ歯が動きやすくなります。
対処としては、クラスプの調整や作り直し・交換を行います。
また、金具をかけている支台歯(しだいし)が歯周病などでぐらついている場合は、歯の治療を行ったり、支えとなる歯を変えたりすることもあります。
金属の金具が見えることや装着感が気になる方には、金具を使わないノンクラスプデンチャーという選択肢もあります。
総入れ歯が外れる場合
総入れ歯は、歯ぐきと顎の骨全体に密着させ、吸着力によって安定させており、顎の骨や歯ぐきの形が少し変化しただけでもフィット感に影響が出やすいのが特徴です。
入れ歯の内側に材料を足して現在の歯ぐきの形に合わせ直す「リライン(裏打ち)」で改善が期待できるケースがあります。
ただし、後述するように骨の吸収が進むと再びすき間が生じるため、定期的な確認が欠かせません。
下の入れ歯(下顎総義歯)が特に外れやすい理由
「上の入れ歯は問題ないのに、下の入れ歯だけがすぐ外れる・浮いてくる」という方は多くいらっしゃいます。
これは気のせいではなく、構造上の理由があります。
下顎は上顎に比べて入れ歯が覆える面積(吸着に使える面積)が小さいうえ、中央に舌があり、その動きによって入れ歯が押し上げられやすいのです。
そのため、調整やリラインを行っても安定に限界が出やすいケースがあります。
こうした下の総入れ歯のお悩みに対しては、顎の骨に埋め込んだインプラントを固定源として入れ歯を安定させる「インプラントオーバーデンチャー」が選択肢の一つとして挙げられ、下顎では2本のインプラントを土台にする方法が基本的な形とされています。
今すぐできる応急処置・日常ケア

歯科を受診するまでの間、また日々の安定性を保つうえで、自宅でできるケアもあります。
無理のない範囲で見直してみましょう。
入れ歯を清潔に保つ
意外と見落とされがちですが、入れ歯の汚れ(プラーク・食べかす)が蓄積すると、粘膜との密着性が落ちて外れやすくなることがあります。
毎食後に入れ歯専用ブラシでやさしく水洗いし、就寝時は入れ歯洗浄剤を使った洗浄を行うのが基本です。
熱湯で洗うと入れ歯が変形することがあるため、必ず水またはぬるま湯を使ってください。
使用しないときは乾燥を避け、水に浸けて保管しましょう。
入れ歯安定剤は一時的な補助と考える
市販の入れ歯安定剤は、一時的にフィット感を補う目的では役立ちます。
ただし、安定剤を大量に使っても改善しない場合や、使わないと食事もままならない場合は、入れ歯そのものが合っていないサインである可能性があります。
安定剤の使いすぎは粘膜を傷つけることもあるため、根本的な原因の解決が大切です。
口周りの体操は補助的に
口の周りの筋力低下が気になる場合、口を大きく開閉したり頬を膨らませたりする口腔体操が補助的に役立つことがあります(※効果には個人差があります)。
ただし、これはあくまで補助であり、入れ歯のフィットそのものを改善するものではありません。
入れ歯が急に外れやすくなった・痛みがある・粘膜が傷ついているといった症状がある場合は、自己判断で対応せず、早めに歯科医院にご相談ください。
歯科で受けられる根本的な解決策

入れ歯が外れるお悩みを根本から解決するには、症状の程度に応じた対処を選ぶことが大切です。
ここでは「調整・リライン」「作り直し」「インプラントオーバーデンチャー」という段階で整理します。
調整・リライン(裏打ち)【まずはここから】

入れ歯の形自体が大きく変わっていない場合は、噛み合わせの調整や、内側に材料を足して歯ぐきの形に合わせ直すリラインで改善が期待できることがあります。
保険診療の範囲内で対応できるケースも多く、負担の少ない対処法です。
ただし、リラインはあくまで「その時点の歯ぐき・骨の形に合わせる」処置です。
顎の骨の吸収は進行していくため、骨が痩せ続ければ再び緩みが生じることがあります。
いわば対症療法である点は理解しておきましょう。
入れ歯の作り直し

調整やリラインでは対応が難しい場合は、新しい入れ歯を作り直すことを検討します。
入れ歯には保険の入れ歯と自費の入れ歯があり、保険の入れ歯は費用の自己負担が少ない一方、素材(レジン)が厚くなりやすいなどの制限があります。
自費の入れ歯には、薄く仕上げられる金属床義歯や、金具の目立たないノンクラスプデンチャーなどがあり、装着感や設計の自由度が高い傾向があります(※費用は保険より高くなります)。
インプラントオーバーデンチャー【外れにくさを長く保ちたい方へ】

「調整しても作り直しても、しばらくするとまた外れてしまう」「特に下の入れ歯が安定しない」という方には、インプラントオーバーデンチャーという選択肢があります。
顎の骨に埋め込んだインプラントを固定源として、その上に取り外し式の入れ歯を留める方法です。
歯ぐきと骨の吸着だけに頼る従来の総入れ歯と異なり、インプラントという安定した支えを持つため、外れにくさを長期的に保ちやすいのが特徴です。
特に、構造上もっとも外れやすい下顎の総義歯で効果が期待できます。下顎では2本のインプラントを土台とする方法が基本的な形とされています。
取り外して清掃できるため衛生的に保ちやすい点も、選ばれる理由の一つです。
インプラントオーバーデンチャーの症例
支えになるインプラントを埋入



インプラントの上から着ける入れ歯

施 術 名 │インプラント治療
料 金 │1本25.4万円~40.5万円 治療費は材質や治療本数によって異なります。
考えられるリスク│抜歯を行う場合、出血や感染症のリスクがあります。また、抜歯後の仮歯装着期間や治療後は、正しく歯を磨く必要があります。清掃が不十分だと隙間から虫歯になったり歯周病を発症してしまいます。定期検診を受診してください。
| 項目 | 調整・リライン | 入れ歯の 作り直し |
インプラント オーバーデンチャー |
|---|---|---|---|
| 費用の目安 | 保険適用・比較的低負担 | 保険〜自費 (種類による) |
自由診療 |
| 外科手術 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 持続性の目安 | 骨の吸収が進むと再調整が必要な場合あり | 数年ごとに見直しを検討 | 固定源により外れにくさを保ちやすい(メンテナンス前提) |
| こんな方に | まずは軽い調整で様子を見たい | 入れ歯が古い・大きく合わない | 繰り返し外れる・下の入れ歯が特に不安定 |
※費用・適応は診査のうえ歯科医師が判断します。効果や経過には個人差があります。
なお、総義歯全体が大きく不安定で、より強い固定を希望される場合には、固定式のインプラント治療が選択肢となることもあります。
状態に応じて適した方法は異なりますので、まずは検査でご確認ください。
福岡で入れ歯の外れ・インプラントオーバーデンチャーのご相談は当院へ

入れ歯が外れる・合わないというお悩みは、原因をきちんと把握して対処することで、多くの方が改善に向かっています。
当院では、お口の状態を確認したうえで、調整・作り直しから、外れにくさを長く保ちやすいインプラントオーバーデンチャーまで、状態に合わせた選択肢をご提案します。
「食事や会話をもっと楽しみたい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)

まずは歯科医院でお口の状態と入れ歯のフィット具合を確認してもらうことをおすすめします。顎の骨の変化によるすき間なのか、入れ歯の劣化や変形なのか、噛み合わせのズレなのかによって対処法が異なります。自己判断で入れ歯を削ったり調整したりすると、かえって合わなくなるリスクがあるため、早めの受診が安心です。
入れ歯安定剤は一時的な補助として活用できます。ただし、大量に使っても入れ歯が安定しない場合は、入れ歯がお口の形に合っていないサインである可能性があります。安定剤を過剰に使い続けると粘膜を傷つけることもあるため、根本的な解決のためには歯科医院での診察・調整をおすすめします。
下顎は上顎に比べて入れ歯が覆える面積が小さく、中央にある舌の動きによって入れ歯が押し上げられやすいため、構造上外れやすい傾向があります。調整やリラインで改善を図りますが、安定に限界がある場合は、インプラントを固定源とするインプラントオーバーデンチャーが選択肢となることがあります。
保険診療の入れ歯であれば自己負担は比較的抑えられますが、お口の状態や必要な処置によって変わります。金属床義歯やノンクラスプデンチャー、インプラントオーバーデンチャーなどの自費診療は種類・設計によって費用が異なります。詳細は診察時にご説明しますので、まずはお気軽にご相談ください。
年齢のみで一律に判断するものではなく、顎の骨の状態や全身の健康状態などを検査したうえで適応を判断します。外科手術を伴うため、持病やお薬の状況も含めて事前に十分にご相談いただくことが大切です。まずは検査でご確認ください。
はい、他院で作られた入れ歯のご相談もお受けしています。現在の入れ歯の状態を確認したうえで、調整で改善できるか、作り直しや他の選択肢が適しているかをご提案します。
まとめ

入れ歯が外れる原因は、顎の骨や歯ぐきの変化、唾液量の低下、入れ歯の劣化・変形、噛み合わせや金具の問題など多岐にわたります。
「年齢のせいだから」と我慢を続けるだけでは根本的な解決につながらないことも少なくありません。
まずは原因を正しく把握し、調整・リラインで改善するのか、作り直しや、外れにくさを長く保ちやすいインプラントオーバーデンチャーが適しているのかを検討することが、快適なお口を取り戻す近道です。
特に、繰り返し外れる方や下の入れ歯にお悩みの方は、一度ご相談ください。
監修医師プロフィール

ザ・インプラントクリニック福岡 インプラント治療担当医
年間症例数 3,077本(2025年実績)/月間最高 402本(2025年7月実績)
- 所属学会・資格
-
- 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 会員
- 一般社団法人 日本口腔インプラント研究会
- 日本審美歯科学会
- 日本スポーツ歯科医学会
- 日本スウェーデン歯科学会
- インビザ認定ドクター
- 長崎大学口腔管理センター登録医
- 口腔感染症予防先端外来認定医
- 受賞・実績
-
- ノーベルバイオケア ダイヤモンド・プラチナメンバーW受賞
- 年間インプラント症例数3,077本(2025年実績)
- 日月間最高402本(2025年7月実績)
- カリエスプロ・ペリオプロ・ソルプロ認定
医療機関情報
- 医療機関名: ザ・インプラントクリニック福岡(The Implant Clinic Fukuoka)
- 所在地: 〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-18-25 ホテル日航福岡 地下1F
- アクセス: JR博多駅から徒歩3分
- 診療科目: 歯科・インプラント専門・審美歯科・歯列矯正
- 院長: 菅原 匠太(インプラント専門医・指導医)
- 所属学会: 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 ほか
- 診療時間: 10:00〜13:30/14:30〜18:00
- 休診日: 月曜・日曜・祝日(電話予約のみ承っています)





