ソケットリフト ( 上顎洞挙上術 ) とは
鼻の奥にある鼻腔の底あたりに上顎洞 ( サイナス ) という空洞があります。
上顎の骨と接する空洞のため、歯を失ってしまうと骨が痩せて薄くなり、上の歯をインプラント治療する際にインプラント体を埋め込むと鼻腔まで貫通してしまいます。
ソケットリフトはこのような状態に対応し、上顎の骨をインプラント体を収容できる状態にまで増量して貫通を防ぐための施術方法です。
上顎洞の底にあたる上顎の骨にぴったりとくっついた粘膜があります。この粘膜を持ち上げ ( リフト ) 、骨との隙間に回復治療を施術します。
従来は上顎の横に穴を開けて粘膜を目視しながら持ち上げるサイナスリフトという手法が主流でしたが、ソケットリフトは穴をあけないので体への負担も少なく回復も早いのが特徴です。
骨が痩せてインプラント治療が難しい方は多く、インプラント医にとっては臨床現場では身近な例ですが、粘膜は非常に柔らかく傷つき易いうえに人によって強度や厚みはまちまちのため、繊細でナイーブな埋め込みをする必要があります。
最終的な調整は施術する医師の手の感覚が頼りとなるため、ソケットリフトに対応できるクリニックは限られるのが現状です。
当医院の医師はソケットリフトを得意としており、サイナスリフトにおいても古くから実績があるなど、上顎洞の施術にあたっては多くの臨床数をこなしております。
ソケットリフトの流れ
STEP 1
- X線撮影やCT等で骨の状態を確認し、診断結果と経験則から上顎洞粘膜の状態を推測します。
施術の際の留意点などを患者様と相談します。
STEP 2
- 上顎骨にソケットエレベーターを打ち込みます。
粘膜に到達したところで加減に注意しながら破らないようにそっと押し上げます。
STEP 3
- 持ち上げた隙間に補填材を注入します。
STEP 4
- インプラント体を埋め込みます。
ソケットリフトのメリットとデメリットについて
メリット
- 体への負担が少ない
- 別途穴を開ける必要がないため、腫れも少なく回復期間も短くて済みます。
- 鼻腔への負担が少ない
- 上顎洞を押し上げる量が少ないので、鼻腔の空間を圧迫しません。
デメリット
- 繊細な施術を要する
- 加減が施術者の感覚に委ねられるため、上手に施術できる医師は限られています。