ザ・インプラントクリニック福岡でインプラント専門医として活躍される武石一秀先生。インプラントのスペシャリストである武石先生が目指す理想のチーム医療とは?そのこだわりとは?お話を伺いました。
近年のインプラントについて
インプラントの施術だけでなく、埋入後のトラブル処理に精通
ーー武石先生が思う、近年のインプラントについて考えることをいろいろご教示ください。
武石一秀先生(以下、武石) 近年、インプラントは日本中に浸透してきています。だからといって歯を失ったらインプラントしか治療法がないというわけではなく、インプラントは歯科治療の選択肢の1つでしかありません。何も考えなしにインプラント処置をしてしまうと、他の歯科治療がしにくくなってしまうこともあるのです。
ですので、歯を失ってしまったらすぐにインプラント治療をしなくては、と焦らずに、きちんと診査診断を行い、インプラントをその部分に埋入する必要があるのかどうかを考察していくことが大切です。
早く治療しなくてはと焦るあまりに、急いでインプラントをいれて大きなトラブルとなる事例が増加しております。骨が不足しているのに、そのままインプラントを埋入したり、埋入ポジションにずれが生じて歯が傾いていたり、口腔内清掃の不良で、最終的にインプラントがとれてしまったりなど…。インプラントを埋入している患者様が増加している中で安心して治療を受けていただくためには、その部分もフォーカスしていかなければならないと感じています。
インプラント埋入後のトラブル処理に精通する医師はなかなかいませんが、私はインプラントの施術だけでなく、埋入後のトラブル処理に精通する数少ない歯科医師です。もしトラブルが起きてしまった場合は、当院ではセカンドオピニオンを受けていますので相談にいらしてください。
ーーインプラントリカバリーやインプラント除去などの患者様が多いとのことですが、どのような状態だとそのような処置が必要なのでしょうか?
武石 まず、インプラント埋入位置の精度がよくなく、インプラントの上物が本当に奇妙な形態になっていることですね。このままだと、上物だけをやり直しても残すのが厳しいというケースが増えています。そのような状態だと、インプラント本体を外して、正確なポジションに再埋入するしかありません。
▲歯槽膿漏により歯根が露出している状態
他には、歯槽膿漏に罹っているケースも増加しています。インプラント治療を受ける前に歯槽膿漏治療もきちんと行うことと、インプラント埋入終了後も歯槽膿漏(インプラント周囲炎)のメンテナンスの大切さも患者様にお伝えしています。
また、骨がなくなっている部分にインプラントを無理やり埋入して、インプラントのボルトが歯ぐきより飛び出ているケースでは、インプラントの一部だけくっついていますので、とてもやっかいです。このケースでその後どのようになるのかは想像通りです。その患部に食べカスが付着してインプラント周囲に汚れがこびりつけば、骨はどんどん吸収し無くなっていきます。
ーーインプラント埋入より、インプラント除去のほうがテクニックとしてはハイレベルであると感じます。
武石 インプラント除去には熟練の技術が必要です。ザ・インプラントクリニック福岡ではその技術によって不可能を可能にしています。
インプラント治療を受ける医院を選ぶ基準
ーーインプラント治療を受けるならどのような医院を選ぶべきか、武石先生の考える基準を教えてもらえますか?
武石 その基準となる項目が3つあります。
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①広い視野を持っている
様々な角度から物事を判断でき、広い視野を持つ歯科医師、歯科医院を選ぶとよいでしょう。当院には口腔外科の専門のドクターも在籍しており、観血的な処置にも対応が可能です。解剖学にも精通しているので、出血を伴うトラブルが起こったとしても、要領よく対応できます。
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②歯周病に精通している
インプラント治療には、術前にも術後にも歯周病治療が欠かせません。
当院には歯周病を専門にされているドクターも在籍しています。歯ぐきのことをよく知りえているので、インプラント埋入の時の切開も見事なものです。どのように切開するかなどを考えるのは、歯周外科においてのとても大事です。骨の大きさや量を考えながら、臨機応変に手術をしなければならず、インプラントや歯周外科のケースでは繊細かつ大胆に処置をすることもあります。したがって専門医は必要に応じてオペ中に内容を変更することがあります。専門医のドクターは本当に頭の切り替えが早いのです。
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③インプラント埋入後の見た目のことやメンテナンスのことをいつも考えている
上の被せ物を考えてどのポジションにインプラントを埋入しないといけないのか。正確なポジションにインプラントを入れないと被せ物の歯もきちんと入りませんし、清掃性も悪くなります。その他、インプラントを支える骨を作る増骨処置も重要です。また、歯ぐきの移植も必須です。
インプラントは除去と再埋入(再治療)のほうが難しいのです。その難しい再生治療には、様々な分野の専門医が協力し合うチーム医療が必要になってきます。
これからの時代に必要なチーム医療
真のチーム医療を博多の地で確立させたい
武石 当院では、インプラントばかりではなく様々な一般歯科治療も可能です。すべて私一人で治療をするのではなく、歯周病専門のドクター、矯正治療専門のドクターなど専門チームで総合的な歯科治療をこの博多の地で確立させていきたいのです。
ーーチーム医療は日本の一般歯科医院ではあまり見かけないかと思います。色々なドクターに治療されるということを不安に思われる患者様もいるのではないでしょうか。
武石 例えば歯の根の治療ですが、日本は歯の根の治療は保険点数が低いので、本当に大切な治療だということを理解されにくい。しかしアメリカではどの分野にも専門歯科医師がいて、すべてが自費診療です。アメリカに留学していた頃、そのような歯の根の治療の専門歯科医師の治療を見る機会がありましたが、大変すばらしい治療をしていました。
セラミックの被せ物を作るとき、支台としての根の治療は大切です。どんな治療でも完璧にこなせるスーパー歯科医師に出会うことができたらよいのですが、「高品質の歯科治療」を求めていくと、その部分まで行きつくにはとっても難しく、奥が深い話になります。
したがって、それぞれが得意分野を持つ専門医が集合しているチーム医療とはとても大切です。
日本ではまだこのような理想のチーム医療が確立されているとは言い難いですが、私はザ・インプラントクリニック福岡をたくさんのドクターが集合し総合的な歯科治療をしていける場所にしようと活動しています。
それから、予防歯科も取り組んでいきたいと考えています。
例えば、自動車には車検があり、メンテナンスをして長い間走行し続けている自動車もあります。50万キロ以上走行している車でも異常なく、きちんと問題なく走行し続けている物も多いです。
車と同じように長く使える歯を保つためには、口腔内のメンテナンスやクリーニングの施設としても確立していきたいと思っています。
「メンテナンスなんかに力を入れなくても、悪くなったらまた歯を削って被せ物もやり変えればいい」というエゴな歯科治療ではなく、治療した後のお口の環境をどのように維持し安定させ、長い間キープできるかを重視しています。予防メンテナンスでのチーム医療は、プロ集団としての歯科衛生士の存在がポイントになります。歯科衛生士は歯のクリーニングを行い、専門医の歯科医師が咬合とチェックをしていきます。その予防メンテナンスのプロセスをキープできるような歯科医院にしていこうと思っています。
今は歯科医師同士のコンタクトだけでは不十分な時代になっています。今後はエリアを超えた異なる診療科同士(医科と歯科)のコンタクトも必要となってきます。歯科医院が倒産するほど多いといわれる時代だからこそ、異なる診療科内でのコンタクトが重要だと感じます。いずれはこのような連携によって、地元の患者様を地元の医師や歯科医師たちが救っていけるようになることが理想です。
ーー日本でのチーム医療は未だ方向性や行程に問題があるということでしょうか。
武石 チーム医療は日本では馴染みのないものなので、チーム医療はどのように行われるものなのか、患者様にわかりやすい行程表を作製するべきですね。具体的なフローを見せれば、納得して治療を受けていただけるのではないかと思います。
私が追い求めているチームのメンバーというのは、ひとりひとりが私よりもある分野毎で優秀な専門医です。日本はドクター1人ですべてを治療するという歯科医院が未だ多いですよね。それでは真のチーム医療とは到底呼べません。
日本ではまだこのような理想のチーム医療が確立されているとは言い難いですが、私はザ・インプラントクリニック福岡をたくさんのドクターが集合し総合的な歯科治療をしていける場所にしようと活動しています。
ヨーロッパでは、患者様が自分で色々な歯科医院を掛け持ちするのが一般的です。歯周病のドクター、インプラントのドクター、矯正歯科のドクター…、他医院のドクターが「あそこの専門歯科へ治療をお願いしますね」と当然のように言ってきます。それはどんな歯科治療をするのか、どのように処置をするのか、チーム医療が出来ている欧州では全部を理解しているからです。患者様にもしっかりとそのプロセスの説明をします。
しかし、日本でそのようなチーム医療のやり方はなじまないと思います。1つの歯科医院に専門医の先生が集合した方がよいでしょうね。一つの歯科医院ですべての歯科治療ができるというチーム医療を私の歯科医院で実践していきたいのです。
最後に
ーー最後に今後の展望をお願いします。
武石 まだまだ私の目標は道半ばです。今後、私自身が成長するために、経験が浅いドクターたちに私の持っている知識や経験を伝えていきたいです。その刺激で自分自身も影響を受けて良い方向に進んでいきたいです。
また同郷の先輩がこの地域医療で貢献しているので、私も歯科という診療科で貢献しこの地域医療の活性化の礎として活躍していきたいです。
豊富な知識をお持ちのドクターというイメージを持ちました。難しいケースでも対応できる技術をお持ちなのに、全く傲らず、「いつも勉強していきたい」と謙虚な姿勢で、普段から明るく、今回も優しくお話ししてくれました。そういうお人柄が患者様から「治療をお願いします!」といつも指名される理由かもしれません。
「これから先、医科のドクターと歯科医師と異なる診療科同士のコミュニケーションが大切」とおっしゃっていたのが非常に心に残りました。
是非ザ・インプラントクリニック福岡に相談してみてください。患者様にとってベストな治療方針を立ててくださるはずです。
武石一秀 / Kazuhide Takeishi
福岡県出身。福岡歯科大学を卒業後、福岡県内にてインプラント他 歯科臨床医また、研究員として一般歯科医院に従事する。 国内各地域で研鑽を重ねて培ったスキルと実績、指導力を最大限に活かせる場として全国屈指のインプラント歯科である当院へ入局。 現在も全国各地より学術会論文発表や歯科医師向けや一般の方向けのセミナー、講演会などの依頼が後をたたない。